麦茶

夏になると麦茶が飲みたくなる。

しかし、わたしは麦茶が嫌いだ。

 

小さい頃に母がよく麦茶を作ってくれた。

冷蔵庫を開ければ、白い蓋のついた透明な容器にいつも入っている。

恐らくそういう家庭は少なくないと思う。

わたしもその家庭のひとつだ。

 

ただ、うちの麦茶は…

めっちゃ不味かった。

 

当時のわたしは子供なので、外で喉が渇いても水飲み場以外では潤せない。

結果、家に帰り冷えた麦茶を飲む。

 

いつもある麦茶。

いつも…

 

あれ、この容器いつ洗ってるの?

 

わたしは気付く。

 

これ(容器)、洗ってないぞ。

 

そこに気付いてしまったからには、もう止まらない。

よく見ると、麦茶が入ってる容器のフタ部分…何かこびりついている!

 

緑色とも灰色とも、はたまた茶色とも言えない何か。

指でこすると取れる。

 

今思えばアレはカビなのだが、子供なのでわからず。

ただ言えるのは…

子供ながらにずっと思っていた…

 

うちの麦茶不味くね??

 

これの原因が洗ってない容器だったとは。

 

その日から麦茶を飲まなくなり、いつしか「麦茶=家の味=不味い」になった。

 

でも、やっぱり暑い日には冷えた麦茶が飲みたくなる。

不味くたって飲みたくなる。

 

きっとこれが「夏の味」なのかもしれない。

夏って、不味いなあ。